コラム

2024/11/11 コラム

お墓を建てる場合のトラブル例と対応策

Q&A

Q1. お墓を建てるときにトラブルが多いと聞きますが、具体的にどのような問題が発生するのでしょうか? 

A1. お墓の建設には見積もりの不一致、完成したデザインがイメージと違う、工事中の予期しない追加費用、さらには品質に関する不満(ヒビやシミなど)といったトラブルが挙げられます。これらのトラブルは、契約内容を詳細に記載し、事前にしっかりと確認することで防げることが少なくありません。弁護士法人長瀬総合法律事務所では、このような問題を未然に防ぐための法的なアドバイスやサポートを行っています。

はじめに

お墓を建てることは、一生に一度の大きな決断です。しかし、いざ建てようとすると、事前に想定していなかった問題が発生し、深刻なトラブルに発展することがあります。お墓は家族の思いを込めた大切な場所ですから、問題を未然に防ぎ、スムーズに完成まで至るためには適切な準備と対応が欠かせません。今回は、お墓を建てる際に起こり得るトラブルとその対策について解説します。

お墓を建てる際に生じやすいトラブル例

1. 見積もりと実際の費用が異なる

事例

ある依頼者が、工事が始まってから思わぬ追加費用を請求されたケースです。理由としては、石材店側から「予想以上に地盤が悪かった」「追加工事が必要だった」と説明されましたが、依頼者は事前にそのリスクを説明されていませんでした。

対応策
  • 詳細な見積もりをもらう
    「一式○○万円」という曖昧な表現ではなく、石の材質、工事内容、加工費などを具体的に明示した見積もりを作成してもらいましょう。
  • 追加費用が発生する条件を事前に確認
    工事の途中で追加費用が発生する可能性がある場合、その条件を明確にし、契約書に記載します。さらに、変更があった場合は、必ず依頼者と合意の上で書面を作成することを徹底します。

2. 依頼したデザインや仕様と異なる仕上がり

事例

完成したお墓が図面で見たものと異なり、依頼者のイメージと合わずにトラブルとなった事例があります。特に、色合いや仕上がりの質感が想像と違っていたため、不満が残ってしまいました。

対応策
  • 具体的な完成イメージを共有
    図面やサンプルを確認し、依頼者が抱いているイメージに沿ったものかどうかを細かく打ち合わせます。加えて、色や材質のサンプルを実際に見せてもらうことで、より現実的なイメージを確認することができます。
  • 契約時にイメージの違いについて説明
    工事完了後の若干の違いが起こり得ることを、事前に石材店側から丁寧に説明してもらい、納得した上で進めるようにします。

3. 墓石のヒビやシミが発生

事例

墓石にヒビやシミが入ってしまったとき、問題が石材の質によるものか、工事の不備によるものかでトラブルが発生しました。特に、引き渡し直後に欠陥が見つかった場合は石材店の責任が問われます。

対応策
  • 引き渡し時の念入りなチェック
    完成した墓石に異常がないかを依頼者が確認することが重要です。もしもヒビやシミが発見された場合は、速やかに石材店に報告し、補修や交換を求めます。
  • 保証制度を確認
    石材店が提供する保証制度がどの範囲まで適用されるかを事前に確認しておくことが必要です。経年劣化に伴う問題は通常保証対象外ですが、契約内容を明確にすることで、トラブルを回避することができます。

トラブルを防ぐための具体的な契約と交渉のポイント

1. 見積書の内容を詳細にする

ポイント

見積書には、石の材質、サイズ、加工内容、設置作業にかかる人件費、交通費などを明確に記載します。「一式○○万円」という書き方では、依頼者と石材店の間で工事内容の食い違いが起こりやすいため、すべての項目を細かく書くように依頼しましょう。

2. 工事請負契約書を作成する

重要項目
  • 仕事内容
    ○○家の墓所建立」という曖昧な表現ではなく、具体的な工事内容を図面や見積書を添付して明記します。
  • 支払条件
    着手金、工事代金の支払時期、残金の支払いなどを明記し、トラブルを防ぎます。
  • 契約不適合責任
    完成したお墓が契約内容に適合しない場合の責任範囲を明確にします。民法の規定により、一定期間内に通知しないと請求が認められないことがあるため、その点も明記します。

お墓の契約不適合責任と損害賠償

契約不適合責任

依頼者は、完成したお墓が種類や品質、数量に関して契約内容に合致していない場合、石材店に対し補修や代替物の提供を求めることができます。さらに、これに応じない場合には代金の減額請求も可能です。ただし、契約不適合が依頼者の指示によるものや、依頼者に帰責性がある場合は、この責任を追及できないこともありますのでご留意ください。

弁護士に相談するメリット

お墓の建設に伴う法的問題は複雑で、個人で対処するのは難しい場合があります。弁護士法人長瀬総合法律事務所に相談することで、次のようなサポートを受けられます。

  • 契約書のチェック
    工事請負契約書の内容が適切かどうか、トラブルが発生しないように弁護士が確認します。
  • トラブル時の交渉サポート
    交渉を法律的な観点からサポートし、迅速な解決を目指します。
  • 法的手続きの代行
    万が一問題が発生した際には、法的手続きに関する代行やアドバイスを受けることができます。

まとめ

お墓を建てる際にトラブルを避けるためには、慎重な準備と契約内容の明確化が欠かせません。見積もりの詳細な確認、工事請負契約書の作成、石材の品質チェックなどを徹底することで、多くのトラブルを防ぐことが可能です。弁護士法人長瀬総合法律事務所は、お墓に関する法的なアドバイスやトラブル解決のサポートを提供していますので、ぜひご相談ください。


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