コラム

2024/12/15 コラム

檀家が寺院を誹謗中傷するSNSの投稿をした場合の対処法

はじめに

現代では、SNSを通じた誹謗中傷が社会問題となっています。寺院も例外ではなく、檀家が法要や住職に対する不満をSNS上に投稿し、寺院の名誉を損なうケースが増えています。本稿では、こうした投稿に対して寺院が取り得る法的手段を中心に、具体的な対応策をご紹介します。

Q&A

Q:檀家がSNSで寺院や住職を誹謗中傷する投稿をした場合、寺院としてどのように対応すればよいですか?

A:SNS上の誹謗中傷は、名誉権やプライバシー権の侵害に該当する可能性があります。投稿内容や影響度によりますが、削除請求や損害賠償請求、発信者情報の開示請求などの法的手段が取れます。また、感情的な対立を避けるためにも、弁護士に相談して対応を進めることが重要です。

寺院が対応可能な方法

寺院や住職の名誉を守るために、以下の対応策を検討することができます。

投稿者に対する削除請求

SNS投稿が名誉権やプライバシー権の侵害に該当する場合、投稿者に対して削除を求めることが可能です。

  1. 直接依頼
    投稿者と良好な関係を維持するために、まずは直接削除を依頼することが考えられます。面談や電話で説明し、削除の協力を仰ぎます。
  2. 書面での削除請求
    投稿内容が寺院や住職の名誉を著しく損なうものである場合、書面で削除を請求します。この際、投稿内容が違法であることを説明し、削除の必要性を明確に伝えます。
  3. 内容証明郵便
    書面の効果を高めるために内容証明郵便を活用することも検討してください。これにより、削除要請を正式な形で通知できます。

(注意点)感情的な対立を避けるために冷静かつ慎重に対応することが大切です。

運営会社に対する削除請求等

投稿者が削除に応じない場合や、直接交渉が難しい場合は、SNSの運営会社に対して削除請求を行うことができます。

  1. 運営会社の削除ポリシー確認
    SNSプラットフォームには、誹謗中傷投稿に対応するための申請窓口があります。運営会社のガイドラインに基づき、削除依頼を行います。
  2. 証拠の確保
    投稿のスクリーンショットやURLを保存し、投稿が名誉権侵害に該当することを具体的に示します。
  3. 送信防止措置の依頼
    「侵害情報の通知書兼送信防止措置依頼書」に必要事項を記載し、運営会社に送付します。
  4. 仮処分申立て
    運営会社が削除に応じない場合には、裁判所に対して仮処分を申し立てることも選択肢です。この手続きには弁護士のサポートが有用です。

(ポイント)運営会社への削除依頼は比較的迅速であるため、まずはこちらを試みても良いでしょう。 

投稿者に対する損害賠償請求

投稿が寺院や住職の社会的評価を著しく低下させるものである場合、損害賠償請求が可能です。

  1. 内容証明郵便での請求
    投稿者に対し、投稿削除と名誉回復措置を求める内容証明郵便を送付します。この際、慰謝料の請求額を提示することも可能です。
  2. 訴訟の提起
    投稿者が請求に応じない場合、裁判を通じて損害賠償を請求します。この際、投稿内容が名誉権を侵害している証拠を提出する必要があります。

(注意点)損害賠償請求は法的手続きのため時間と費用がかかります。また、相手との関係性が悪化する可能性もあるため、慎重に進める必要があります。

弁護士に相談するメリット

SNS上の誹謗中傷に関する対応は、法的知識や手続きが必要であり、個人で進めるのは困難です。弁護士に相談することで以下のメリットがあります。

  1. 専門的なアドバイス
    投稿内容が名誉権やプライバシー権の侵害に該当するかどうかの判断を、弁護士が的確に行います。
  2. 適切な対応方法の選択
    削除請求、損害賠償請求、仮処分申立てなど、ケースに応じた最善の対応を提案します。
  3. 法的手続きの代行
    複雑な裁判手続きや運営会社への通知書作成を弁護士が代行します。これにより、迅速かつ確実な対応が可能となります。
  4. 感情的な対立の緩和
    第三者として弁護士が介入することで、投稿者との直接対立を避けることができます。

まとめ

SNS上の誹謗中傷は、寺院や住職にとって深刻な問題です。適切な対応を取らないと、社会的信用の低下を招く可能性があります。削除請求や損害賠償請求などの法的手段を活用しつつ、感情的な対立を避けるためにも、専門知識を持つ弁護士に相談することが重要です。当事務所では、寺院法務に精通した弁護士が問題解決をサポートいたします。

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