コラム

2024/11/17 コラム

寺院における就業規則作成の必要性とメリット

はじめに 

寺院においても、職員やスタッフが複数勤務している場合、一般企業と同様に「就業規則」が必要となる場合があります。しかし、「なぜ寺院に就業規則が必要なのか」「どのようなメリットがあるのか」について、具体的な理解を持つ住職や寺院運営者は少なくないかもしれません。ここでは、寺院における就業規則作成の重要性や具体的なメリットについて解説し、弁護士法人長瀬総合法律事務所がどのようにサポートできるかをご紹介します。

Q&A 

Q1:弊寺では数名の職員が働いていますが、就業規則は必ず作成しなければならないのでしょうか?また、どのような内容を盛り込むべきですか?

A1:寺院においても、常時10人以上の労働者を使用している場合、労働基準法第89条により就業規則の作成が義務付けられています。10人未満の場合は義務ではありませんが、職場のルールを明確にし、労働条件を統一的に管理するメリットがあるため、就業規則を自主的に作成することをお勧めします。内容には、労働時間、休日、賃金、退職に関する項目などの基本事項を盛り込む必要があります。これにより、労使間のトラブルを未然に防ぐ効果があります。

1. 就業規則とは何か

就業規則とは、職場における労働条件や守るべき規律を明文化したもので、事業所における「ルールブック」と言えます。労働基準法第89条によれば、常時10人以上の労働者を使用する事業主は、就業規則を作成して労働基準監督署に届け出る義務があります。この義務は、寺院も対象となり、宗教法人としての特殊性を考慮しながらも、労働者を保護する観点から法律の枠組みを遵守することが求められます。

一方で、10人未満の規模であっても、就業規則の作成はトラブル防止や業務の効率化に寄与するため、積極的に検討する価値があります。

就業規則に盛り込むべき内容

  1. 労働時間・休憩・休日:労働時間の設定、休憩時間、週休日の具体的な取り決め。
  2. 賃金に関する事項:賃金の支払い方法、賃金締め切り日と支払い日、各種手当の支給基準など。
  3. 退職・解雇に関する事項:退職時の手続き、解雇の事由、退職金の有無など。
  4. その他の事項:労働者の福利厚生制度、安全衛生管理、ハラスメント防止の規定など。

2. 就業規則作成の必要性

就業規則を作成することには、法律に基づく義務を果たすだけでなく、組織運営において多くのメリットがあります。

明確な労働条件の設定

就業規則を通じて、労働条件を明文化することは、寺院の運営において非常に重要です。特に、寺院では法要や行事が不規則に発生しやすく、労働条件が曖昧になりがちです。就業規則を整備することで、労働者と寺院側の間での誤解やトラブルを防ぎ、透明性の高い職場環境を構築できます。

統一的な運用による効率化 

労働条件が書面で明確に規定されていると、全ての職員が同じルールに従って業務を行うことができます。これにより、指示の伝達がスムーズになり、日常業務の効率が向上します。特に、寺院のような多様な活動を行う職場では、規則がないと混乱が生じやすくなります。 

3.就業規則作成のメリット

1.トラブルを未然に防ぐ

雇用契約の内容が明確でないと、労働者から不満が出たり、法的なトラブルに発展することがあります。就業規則が存在すれば、紛争が起こった際に解決の指針となり、双方にとって安心できる労働環境が生まれます。また、ルールがあることで、労働者は自分たちの権利や義務を理解しやすくなり、寺院側の管理コストも削減できます。

2.労働条件の変更がスムーズに行える

雇用契約は原則として双方の合意なしに変更できませんが、就業規則が存在する場合、合理的な理由と周知がなされていれば、労働条件の一部を変更することが可能です。例えば、勤務時間の見直しや新しい業務体制の導入などを行う際、個別の同意を取らずに一斉に実施することができるため、柔軟な労務管理が実現します。

3.労働者のモチベーション向上

就業規則によって、労働環境が整備されていることが労働者にとって安心感につながります。規則が整っていると、労働者は職場に信頼を持ちやすくなり、結果として労働意欲の向上が期待できます。特に寺院の運営は信頼関係が重要であり、働きやすい環境づくりが布教活動やその他の宗教行事の円滑な遂行に貢献します。

4.専門家に相談するメリット

就業規則の作成には法的な知識が求められます。また、労働法は頻繁に改正されるため、最新の法律に対応するためには専門家のアドバイスが不可欠です。寺院特有の事情にも配慮する必要があるため、一般企業の規則とは異なる視点が必要です。

弁護士法人長瀬総合法律事務所のサポート 

弁護士法人長瀬総合法律事務所では、寺院に特化した法律知識を持つ弁護士が、労務管理をサポートします。特に、寺院における特殊な雇用形態や宗教行事の性質に配慮した就業規則の策定が可能です。初めて就業規則を作成する場合はもちろん、既存の規則の見直しや改定も迅速に対応します。

  • 法改正への対応:最新の労働法に準拠した規則の作成や見直し。
  • 個別の相談:労働トラブルの解決や未然防止策についての助言。
  • 柔軟な対応:寺院の規模や特徴に応じたオーダーメイドの就業規則を提供。

まとめ

寺院における就業規則の整備は、労働条件を統一的に管理し、トラブルを未然に防ぐために不可欠です。労務管理をしっかり行うことで、寺院の業務が円滑に進み、労働者との信頼関係を築くことができます。弁護士法人長瀬総合法律事務所では、寺院の実態に即した適切な規則作成をサポートします。ぜひ一度ご相談ください。

 


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