コラム

2024/11/18 コラム

寺院における反社会的勢力の排除に関する留意点

Q&A 

Q:寺院として反社会的勢力の排除にどのように対応すればよいでしょうか?

A:現代社会では、反社会的勢力と一切関係を持たないことが宗教法人にとっても必須です。寺院は、その公益性と社会的責任に照らし、明確な暴力団排除方針を打ち立て、法律を遵守することで信頼を守る必要があります。本稿では、反社会的勢力の排除に必要な法的対応、契約書の整備、具体的なケースでの注意点について解説します。

1.はじめに

寺院は地域社会に深く根ざした公益性の高い組織です。そのため、反社会的勢力との関わりを断つことは宗教法人としての信頼を維持する上で極めて重要です。本稿では、具体的な法的対応を含め、寺院が反社会的勢力を排除するためにとるべき措置について、わかりやすく説明します。

2.反社会的勢力とは

反社会的勢力とは、暴力、威力、または詐欺的手法を用いて不当な利益を得ようとする集団や個人の総称です。これには暴力団やその関連企業、総会屋、社会運動等標ぼうゴロなども含まれます。寺院においても、こうした勢力と関係を持つことは、社会的信用を著しく損なうことになります。 

3.法的規制と寺院の責務

寺院が反社会的勢力を排除するためには、以下の法的規制を理解しておく必要があります。

  • 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(暴対法):暴力団の活動を規制する基本法。
  • 暴力団排除条例(暴排条例):各都道府県で制定され、地域社会全体で暴力団を排除するための規定です。

これらの法律は、寺院を含む事業者に対し、契約時に暴力団関係者であることが判明した場合の契約解除を認める条項を盛り込むことを義務づけています。また、寺院自体が暴力団に利益を提供する行為を厳格に禁止しています。 

4.契約書への暴力団排除条項の導入

寺院は、反社会的勢力との関わりを防ぐため、取引業者などと結ぶ契約書に暴力団排除条項を追加することが推奨されます。この条項は以下のように構成されます。 

:暴力団排除条項

  • 契約当事者は、暴力団や関連する個人・企業ではないことを表明し、今後も関係を持たないことを保証する。
  • 反社会的勢力を利用した威圧的行為や不当要求を行わないことを確約する。
  • 条項に違反した場合は契約解除の対象とし、相手方に損害が生じても責任を負わない旨を記載する。 

5.具体的なトラブルケースと対処方法

反社会的勢力との関係が疑われる法要や寄付の申し出など、対応が難しいケースもあります。個別のケースでは、事態を慎重に判断し、必要であれば弁護士や警察に速やかに相談することが重要です。

例えば、葬儀の実施が個人レベルの依頼であり、反社会的勢力と明確な関連がない場合でも、疑念がある場合は慎重に対応することが求められます。寺院が組織としてどのような取引を行うかについては特に注意が必要です。

6.弁護士に相談するメリット

寺院の運営にあたって、反社会的勢力に関する問題は複雑です。弁護士に相談することで、以下のようなメリットがあります。

  • 法的アドバイスの提供:最新の法改正や判例を踏まえた正確な対応が可能です。
  • 契約書の見直し:反社会的勢力の排除条項を含む契約書を整備することで、リスクを軽減できます。
  • トラブルの予防:事前に法的リスクを把握し、トラブルを未然に防ぐことができます。 

弁護士法人長瀬総合法律事務所では、寺院法務に精通した弁護士が具体的なアドバイスを提供します。お気軽にご相談ください。

7.まとめ

反社会的勢力との関わりを排除することは、寺院にとって社会的信頼を守るために不可欠です。法的な知識を持ち、契約書などの整備を行うことで、トラブルを未然に防ぐことが可能です。いざという時に備え、弁護士に相談することをおすすめします。

 


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